第3回インターンシッププログラム

第3回インターンシッププログラムの実施状況

(1)2025年2月13日(木) 安芸太田町川・森・文化交流センター

講義・演習一人ひとりの学ぶ力を引き出す授業のデザイン①②主体的・対話的で深い学びを実現するための手法の一つ「知識構成型ジグソー法」について学び、授業研究の視点について考える。
講義・演習主体的・対話的で深い学びの質を支える授業研究仮説検証型の授業研究
事前の想定と実際の子どもの学び事実とを比較し分かったことを共有し、次の授業に生かせそうな仮説を得る。
演習学瞰システム※を活用したオンデマンド授業研究翌日の研究授業の学級の学習の記録(学瞰システム)を活用し、これまでの講義・演習に基づき、仮説検証型の授業研究を実施。

※学瞰システム
 CoREFが開発したグループでの対話を記録するシステム。360°カメラの映像と個別の発話を記録し、ビデオ記録とともに個の発話を書き起こすことができる。

1日目の振り返り

・私はまだ教育実習に行っていないので,授業研究というものがどういうものなのか,そもそもつかめていませんでした。今日、学んでみて,子どもの学びの様子を根拠にして,どんな授業デザインを変えていくべきなのか,なるほどこういう視点に立てばいいのかみたいなところがつかめて,明日の国語の授業でもこういう観点を大事にしようと思いました。(文学部3年)
・授業で「対話的な学び」とか「深い学び」とか言われて具体的にどういうことを行っていったらいいのかよく分かりませんでした。グループ学習は今まで自分が受けてきた教育でもたくさんあったんですが,やっぱりグループの発表がゴールになりがちというのは本当に多いと思うので,今日、ジグソー法を学んで自分でも体験して,自分の意見を他の人たちに話すことで広げていって,最後にもう一回自分で確認するということがすごい重要だなと思いました。(文学部3年)
・授業研究について,実習で児童がどんな既有知識を持っているかを事前に考えたのですが,それをもとにどんな学習が展開されるか,どんな回答の要素が期待されるかという部分まで仮説を立てて,詳しく回答の要素を考えることはなかったので新鮮だったし、だからこそ振り返りが充実すると感じました。仮説があるからこそ授業を検討するときの解像度が上がるというか,どういう視点で振り返ればいいということがはっきりするから,次につながる振り返りができ,いい授業研究のやり方を学べたと思いました。
 ジグソー法については,集中講義で大学生がやるとこういう感じになるんだというジグソー法のよさを学べたんですけど,それを今日,小・中学校の内容でやってみて,そのよさとか難しさをあらためて感じたので,明日,実際の学校現場でどんなふうにされるのか,先生は実際の授業ではどんなふうに立ち回って,子どもたちはどんなふうに考えるかを知りたいと思います。(教育学部3年)
・研究授業と授業研究は同じようなものなのかなと思っていたんですけど,少し違うんじゃないかなという気づきを得ました。どういう授業をするのか,想定を事前に確認し見るべきところをあらかじめ決めておいて、協議や授業者の振り返りがその後あって,参加者の振り返りもあるというものかなと思いました。
 和歌の教材について,和歌を国文学のような分析の仕方をやっていると,子どもたちのための分析なのに,文学として分析するのはやっぱり方向性が違うということを今日あらためて感じて,誰のためにこの分析をやっているのかというのをちゃんと考えてやるべきだなと,自分の反省として思いました。子どもたちの成長のために必要な要素を見つけて,それをしっかり強調していかなければいけないのかなと思いました。(教育学部3年)
・実習での自分の課題として,「問いのことばの精選」と「学習者の理解度の把握」がありました。「問いのことば」では自分の中では解答とはつながっていたんですけど,実際に投げかけてみると一回の指示では通らず、もう一回詳しく説明してやっと活動が進むということが何度かあって,私の中では完全につながっていたとしても,学習者が問いを受け取る状況とかによって大分変わってくるので,何回か問いを繰り返して授業でやっていって,また問いを精選していくという作業は,すごい私の中でヒントになる活動なのかなと思いました。
 「学習者の理解の把握」では,まだピンとは来ていないんですけど,今まで受けてきた授業観察とか,自分の実習での観察でも基本的に先生をずっと見ているものが多かったし,今まで全然学習者に注目して観察して来なかったので,明日は学習者をしっかり注視して,一人の子の理解のプロセスみたいなものを,今までの自分よりしっかり見られたら,何か手がかりになるんじゃないかと思って,明日は楽しみにしています。(教育学部3年)
・ジグソー法に焦点を絞って,こんなに細かく生徒の学習の過程を追っていくことがなかったので,一つ一つの活動段階に持たせて活動の必要性をエキスパートで作ることで,それによって対話の必要性が出てきて,ジグソーやクロストークの中で聞きたいとか聞いてほしいとかという姿勢が自然とできあがってくるというのをすごく感じました。個別からグループで活動して個に返すという形態自体は,よく取り入れることはあるんですが,どうしても最後に個に戻したときに書いた内容は,班やグループで話し合ったことになってしまっていて,自身の考えを,もう一度集団で話し合ったことを思い起こしながら修正したり何か取り入れたりして、もう一度アウトプットしてみるということはすごく重要だなと感じました。
 明日は一人の生徒さんに着目するということができるので,学習の過程をより細かく追っていきたい。結構,長い期間ジグソー法とかを活用し,学習歴を持っている生徒さんたちなので,意外と教師が活動中にかかわる時間が少ないかなと思っているので,どれだけ待つ姿勢みたいなものを取り入れながら,子どもたちの力で進めていく環境を作り出していくのかが気になるので,そこを観察したいなと思いました。(博士課程前期1年)

(2) 2025年2月14日(金) 安芸太田町立加計中学校

 研究授業を予定していた国語科の教諭が、急遽、体調不良のため、理科の教諭が研究授業をすることになり、予定を変更して実施した。

事前協議
簡易授業体験として研究授業での生徒の学習を予想する。
授業者の先生から研究授業実施の理科教諭から、実施学級3年生の本時の想定、普段の生徒の様子を聞く。
観察する生徒を割り当てる。
授業見学3校時 3年社会科 割り当てた児童を中心に観察する。
前時の交流3校時の生徒観察を交流する。
管理職へのインタビュー校長に学校経営、教育方針について質問する。
(学生からの主な質問)・校長先生の仕事内容、仕事のやりがい
・教諭の時になりたいと思っていた先生の姿と、管理職になって、教諭の時の思いと変わったこと
・先生に一番やってほしいこととやってほしくないこと
・小学校や高等学校ではなく中学校の魅力
給食各学年の生徒といっしょに給食、各学年教室
研究授業
(合同校内研修)
5校時3年理科
「冷蔵庫はどのような仕組みで内部を冷やしているのだろう?~ヒートポンプの仕組みを考えよう~」(発展的内容)
学瞰レコーダーによるグループ協議を記録。
割り当て生徒を観察し、事前の想定と比較し記録する。
研究協議
(合同校内研修)
加計中教職員と合同でグループ協議
割り当て児童の観察結果から、想定と比較し児童の思考過程を考察、授業改善に向けて協議する。学瞰レコーダーによるグループ協議の記録も活用。

2日間のプログラムを通じての感想、印象に残ったこと

・ジグソー法という授業方法自体が印象的でした。自分自身はもともと話し合いが好きな質で、こういった活動も積極的に参加したがると当時を振り返っても思います。しかし、今回観察していた子供たちには、自分から意見を発すのが苦手な子や、考えるのは好きでも伝えるとなると自分の考えをまとめきれない子、逆に自分から動いてまとめようとする子など多様な姿を見せてもらいました。授業案を考えるときの子供たちの反応は、自分自身やその周りの子たちといった経験からでしか考えることができないため、今回のプログラムで、できない側にいる子どもたちの考え方も、少しは実感できたのではないかと思います。(文学部3年)
・文学部だと実際の学校現場を見ることがあまりできないため、今回のインターシッププログラムは教職を志望する私にとってとても良い機会になりました。今まで、主体的・対話的で深い学びが重要であるということは、たくさん学ぶ機会がありましたが、実際の学校ではどのようにしてそのような教育を行っていくのか、具体的な想像ができていませんでした。今回、知識構成型ジグソー法を学び、実際に行われている授業を見たことで今まで学んだことがどのように活きていくのか、教職に就いたときの授業研究のイメージを持つことができるようになり、とても良い経験となりました。また、子どもの姿から授業デザインすることともに、教科に関わらず協働して、授業研究を行っていくことの重要性、そうすることで参加者全員の成長に繋がるということが印象に残りました。(文学部3年)
・先日大学の講義でジグソー法について学んだので、理論と実践が結びついていくような2日間でしたが、その中でもより小学校や中学校という場での手法について学ぶことができたなと思っています。また教育学部の他類の人や他学部の人とこういった話をすることも新鮮でしたし、初等コースであるのに中学校を見せて頂いたのもとても貴重でありがたい経験だったなと思います。(教育学部3年)
・校長先生や授業者の先生とのお話や、研究授業後の先生方との協議会を経て、子どもたちへの教育的な愛情や熱量を感じた。私もそのような姿勢を持った教師になりたいと強く思った。(教育学部3年)
・授業研究や実際の授業についての学びは多くあるが、1番印象に残ったのは校長先生へのインタビューの中で、先生に1番やってほしいのは、生徒の命を守ることという旨の言葉である。私は教師の役目の1番は学習面のサポートだと考えていた。命を守るということはあまりにも前提にある考え方で、前提すぎて見落としていたかもしれない。そのことに気づいてハッとさせられた。また、その後の給食の時間に生徒とご飯を食べる中で、学校はさまざまな学びの場であると同時に、多くの命を預かる場なのだということを強く感じた。そのことを先生が自覚しているかどうかで、生徒への声かけなどの配慮の仕方は変わってくるように思う。プログラムの趣旨とずれてしまうが、とても大切なことに気づけたのが、今回のプログラムで1番印象に残っていることであった。(教育学部3年)
・生徒が分かっていないという状況には、少なからず不安を覚えてしまう。しかし、今回、一部、あるいは一本全てなど様々な授業や学習ケースに触れさせていただき、分かっていない、納得していないことを素直にどうして?なんで?と問いかけられる生徒は学びのきっかけや学習を回していく存在であると感じた。生徒が分かっていない状態を怖がるのは教師主体の見方であった。分からないけど、みんなで考えればわかるはずと思える環境を1年間あるいは3年間を通して作り上げていき、粘り強く食い下がっていく生徒を育てたい。また、生徒がどのような考え、思考で分からなくなっているのかといった分析の力も授業中に判断できるように感覚を磨いていかなければと思う。経験を積むことが何よりも力になると思うため、今後も励んでいきたい。(博士課程前期1年)

教員就職意欲の向上について

・実際の学校や生徒に触れて、自分がどのように教えるのか、どのように学校で教員として活動していくのかというところを想像するきっかけになったため。(文学部3年)
・実際の教員の方の授業研究を観察し、全体での交流に参加させていただいたことで、以前よりも自分が教員として授業を作っていくイメージが具体的に想像することができるようになり、志望度が高くなりました。(文学部3年)
・現職の先生方の様子を見せていただいたりお話を聞かせていただいたりして、同じように働きたいなと感じたから。(教育学部3年)
・実際に生徒や先生方と関わることで、より生徒の成長や頑張る姿、先生方のやりがいを重く感じたから。(教育学部3年)
・これまでの教育実習では感じられにくかった、授業を考え、生徒がどんな反応を示すのかが楽しみだなと感じたりするような体験ができた。附属校の実習の空気感とは異なり、一人一人を見とり、様々な集団で発揮される協調の様子を高めていくという授業観察はとても勉強になった。(博士課程前期1年)

児童の学びの過程に焦点をあてた授業研究について

・今回の授業研究は生徒に焦点を当てた、「どうしてこのような理解になったのか」「この発言に至った思考過程はどのようなものか」というところから授業のデザインを考えることができた。(文学部3年)
・今回のインターシッププログラムを通して、他者と協働して、仮説の質を深め、こども達の立場で授業の練り直しを行うことの重要性を実感しました。他の教科の先生とも協働して、新たな視点を知ることで、より子どもたちの学びの想定がしやすくなるということを学びました。また、今までは授業研究は授業者が成長して行くために必要なものであると思っていましたが、授業者だけでなく、授業研究の参加者全てが学びを得て成長できるものであるのだと感じました。(文学部3年)
・子どもの学びの変遷に対して仮説を立てて仮説検証のように分析をしていく点、より子どもの思考回路にフォーカスをあてている。(教育学部3年)
・「授業研究」の時には先生を観察することが通例であるという認識をしていたが、先生ではなく生徒を、大勢の生徒ではなく1人の生徒のみを観察するという方法を体験し、学習者主体の教育が目指されている今日の教育方針と合致しており、理にかなっていると思った。(教育学部3年)
・授業研究の流れについて、教育実習において附属校で経験した研究授業や協議会よりも、より生徒の視点に立ったものだったと、印象が変わった。(教育学部3年)
・様々な教科から生徒や教材を検討する視点がよいと感じた。教科特性が見えてきたり、反対に従来の教科特性に縛られすぎていたりといった側面が感じ取りやすい。専科であるないに関わらず、どの教員も自分の立場や経験からしか出さない意見があるのだと感じた。(博士課程前期1年)