第4回インターンシッププログラム

第4回インターンシッププログラムの実施状況

(1)2025年2月18日(火) 安芸太田町川・森・文化交流センター

講義・演習一人ひとりの学ぶ力を引き出す授業のデザイン①②主体的・対話的で深い学びを実現するための手法の一つ「知識構成型ジグソー法」について学び、授業研究の視点について考える。
講義・演習主体的・対話的で深い学びの質を支える授業研究仮説検証型の授業研究
事前の想定と実際の子どもの学び事実とを比較し分かったことを共有し、次の授業に生かせそうな仮説を得る。
演習学瞰システム※を活用したオンデマンド授業研究翌日の研究授業の学級の学習の記録(学瞰システム)を活用し、これまでの講義・演習に基づき、仮説検証型の授業研究を実施。

※学瞰システム CoREFが開発したグループでの対話を記録するシステム。360°カメラの映像と個別の発話を記録し、ビデオ記録とともに個の発話を書き起こすことができる。

1日目の振り返り

・ 映像で子どもの授業の様子を見て,エキスパートで自分が学んだこと,分かったことを,一番焦点を当てられていた男の子を見て思ったんですが,それを一生懸命,相手が分かるように伝えようとしていて,その男の子以外の子も,自分の学んだことを一生懸命伝えようとする姿を見て,その姿勢を自然と作ることができる方法が,今日学んだジグソー法なのかなと思いました。
 今回の授業研究をしていて,今回は授業の方法に焦点を当てて授業研究をされているなと思ったし,自分もジグソー法をすることによってどうなったかということになるべく視点を当てて見ていたんですが,逆に今回のこの授業は,自分はあまり算数のことは分からないのですが,算数的な視点で見たときどうだったのかなということが気になって,授業研究にはいろいろな見方があるなということを,今日,新しく感じました。みなさんすごい鋭い意見を言っていて,なるほどということが多くて,すごくよい時間でした。(教育学部4年)

・ 授業づくりで一番大切だと思ったのは,授業前にしっかり具体的にどういう「解答」 が求められるのかという,指導要領に求められることを具体化した「問い」を明確にしておくことで,授業,エキスパート資料の工夫ができると思いました。子どもの具体的な反応をあらかじめ設定したことも,求められていることに対してどんな反応があるかということも難しいと思ったので,これからは具体性を持ったねらいを目指していきたいなと思いました。
 あと,大人がどれだけ想定しても,子どもの反応は予想外のことがあるので,その都度,ビデオの先生のように定義の確認であったり,課題の確認をしたりして,発問という形で支援していくことを大切にしていきたいなと思いました。(教育学部2年)

・ 自分は教育の研究はしているんですが,教職は取ってなくて教育学のバックグラウンドは十分ではなかったんですけど,この場で学習指導要領に対して具体化することが大切ということを今回学びました。
 前半の講義のところで,学習科学の説明があったのですが,ジグソー法は対話的な活動を自然とできるような場のデザインがされていて,そういう場のデザインによって 設定が変わるということがあったり,それに基づいた授業研究は面白いなと思いましたし,実際に授業を記録して授業の効果をみていって研究するというのはおもしろいと思いました。現在、高専での非常勤講師をしているのですが,高専ではそもそも授業研究をするというような文化がないのですが,高専ではすべての学生が受けるモデルカリキュラムというのがあるのですが,学習指導要領のようなものを考える必要があるなと思いました。(博士課程後期1年)

(2) 2025年2月19日(水) 安芸太田町立筒賀小学校

事前協議簡易授業体験として研究授業での児童の学習を予想する。
授業者の先生から研究授業実施の5年生担任から、本時の想定、普段の児童の様子を聞く。
観察する児童を割り当てる。
授業見学3校時 5年算数「多角形の中心角」
 割り当てた児童を中心に観察する。
前時の交流3校時の児童観察を交流する。
管理職へのインタビュー
(学生からの主な質問)

校長、教頭に学校経営、教育方針について質問する。
・管理職は授業がないだが、どのように児童とかかわっているのか。
・「個別最適な学び」の実現についてどう考えておられるのか。関連して、教育課程編成の学校裁量についてどのくらい柔軟にできるのか。
・同じ校舎内に保育所がある筒賀小では、保小連携においてどういうことを大切にしているのか。また、普段の交流について教えてほしい。
給食5年生の児童といっしょに
研究授業
(合同校内研修)
5校時 5年算数「四角形と三角形の面積」知識構成型ジグソー法
学瞰レコーダーによるグループ協議を記録。
割り当て児童を観察し、事前の想定と比較し記録する。
全教諭との対話教諭全員と授業づくりや子どもとの関わりについて対話。
研究協議
(合同校内研修)
筒賀小教職員と合同でグループ協議
割り当て児童の観察結果から、想定と比較し児童の思考過程を考察、授業改善に向けて協議する。
学瞰レコーダーによるグループ協議の記録も活用。

2日間のプログラムを通じての感想、印象に残ったこと

・ 様々な人と授業検討を行い、意見を出し合うことで様々な視点から一つの内容を考察することができ、とても勉強になりました。また、先生方から多くのお話を聞くことができ、とても充実した二日間でした。(教育学部4年)
・ ジグソー学習で対話的な学びを引き出すことによって、子どもから「なんで?どういうこと?」という疑問が生まれて対話を通して学びが深まっていく様子が印象的だった。環境次第でこんなにも学びに向かう姿勢や理解の深まりが変わるのかと驚いた。対話のきっかけはわからないことや考えの違いがあることであるため、授業づくりをするときに発問や課題の提示の仕方について工夫を凝らしていきたいと思う。
  授業前に児童と同じ活動をしてつまずきや対話を想定してから、授業を観察するという授業研究は今までやったことがなかった。しかし、想定と実際の比較をすることによって、想定の質を上げたり、授業を観察する時に子どもの思考のプロセスを見とったりできると学んだ。これからは、授業を作る・観察する時には、子どもの目線に立って授業を見つめることを心がけていきたい。授業研究の面白さや対話による学びの奥深さに気づくきっかけとなりました。今後の学びに活かしていこうと思います。(教育学部2年)
・ 管理職の先生へのインタビューの中で校長先生が「個別最適化された学習を孤立した学習と捉えたくはない、一人ひとりの考えが違うからこそ協調学習で良い活動ができる、ということを実現できたら一番いいのではないか。」というニュアンスのことを仰っていたように記憶しているのですが,個別最適化された学習について,これまではどちらかというと学習者の状態をいかにして正確に把握し,個別最適化されたフィードバックを提供するか,というような視点で考えていたので,目から鱗の思いでした.この言葉を今後自分が行っていく取り組み(授業デザインを含む,教育・研究活動)とどのように結び付けていくかについては具体的な案がまだないのですが,常にどこかには置いておいて今後の糧としたいと思います。(博士課程後期1年)

教員就職意欲の向上について

・ このプログラムの以前から教職への志望度は高いから。(教育学部4年)
・ 実際にジグソー法を使っている授業を観察して、学ぶ環境によって子どもたちの学びの深まり方、学習に対する意欲がかなり変わるということを実感した。そのため、私も子どもたちの学びの力を引き出す授業づくりをし、学びに対する切実さを持った上での深い学びを一緒に作っていきたいと思ったため。また、授業研究のおもしろさ、対話による学びの奥深さに気づいたから。(教育学部2年)
・ 学習科学の立場から知識構成型ジグソー法のような手法を用いることで全員が発言・対話しやすいような環境を自然に作ることができ,非常に興味深く感じました.また,仮説検証型の授業研究では事前に予想を立てているのとグループごとに到達してほしい学びがある程度目明確化されているため初めてでも見取りを行いやすく,上記のような理論的な面白さもあいまって非常に有意義な経験となりました.(博士課程後期1年)

児童の学びの過程に焦点をあてた授業研究について

・ 「子どもの学びのプロセスを見る」ということは重要であることはわかっていたけれど、今回のように誰か一人の子どもに焦点を当て、何人かでその子を見取り、考察するということを経験して、その様子からこの授業のねらいを達成できたか、教科の本質を捉えられているか分析することができるということが分かった。(教育学部4年)
・ 今までは授業研究に対して、授業前の教材研究や子どもの実態を考慮することなどの準備のイメージが強かった。しかし、プログラムを通して、授業づくり→つまずきの想定→実践→評価、改善のサイクルを回す中でよりよい授業を作っていくということを学んだ。授業研究は1時間の授業やその単元だけで終わるのではなく、教師が子どもにとってよりよい授業づくりを長期的に追究していくものだということが心に残った。また、授業研究の中で、実践前につまずきを想定し、一人の児童に着目して思考の状況を読み取った。これにより、自分のつまずきの想定と実際の比較ができたり、どんな発問や資料が有効であったのかを気づきやすくなったりするとわかった。授業を見る視点として、事前に自分でつまずきを想定したり、子どもの思考のプロセスを読み取ったりすることも、授業研究の一貫だと学んだ。(教育学部2年)
・ 事前アンケートの時点ではどちらかというと教授者の手立てを中心に分析するイメージがありましたが,学習者を中心に,今回の場合は担当の生徒を決めて,その人の思考のプロセスをじっくり観察することで何が思考に変化を与えたかなどを分析しやすくなることが分かりました.(博士課程後期1年)